大会を通してお世話になった人たちへのお礼の連絡も終えて、大学院へのレポートなどをまとめているところです。
実は、ロサンゼルスのローカルテレビ局(UTB)に、チーム側に承諾を得て私の仕事振りについて大会中にずっと取材していただいていたのですが、本日それがついに放映されました。個人枠なんて、人生初の体験です。
WBC特集:3月29日 O.A. WBC 日本代表激戦を勝ち抜き優勝!!!
こんなに素敵に描いていただき、また、このように一つの形にすることができて、本当に感謝の気持ちです。自分の分かりやすいキャラがそのまま出てる感じ・・・。
ここで、今回の自分の仕事を通して学んだことや、思いなどを総括したいと思います。
大きく2つのカテゴリーがあったと思います。
1.メディアの方々へのさまざまなコーディネーション:
代表的なものとしては3つありました。
- seating assignment: 200近い日本のメディアの方々(テレビクルー、カメラ、記者など)のスタジアム内での席や仕事場の調整・確保。こ こは前回大会よりもかなりスムーズにできたそうで、アリゾナ、サンディエゴ、ロスと、目立った大きな問題 はなく、無事調整ができました。
Arizona, Scottsdaleでのpress boxのseating assignment風景
- interview:これは、試合前後に行われるRights holderによる監督・選手とのインタビューのセットアップですが、ここは日本とアメリカのメディアの考え方の違いを目の当たりにした難しいものでした。例えば、日本は、いつ、どこで、誰が(インタビュアー)、どんな質問で、どのような目的で、というのを事前にスケジュールベースではっきりしなければなりませんが、アメリカのメディアはもっとラフな感じでやってきます。これは、以前自分が働いていたIT業界でも、プロジェクトはがちがちのスケジュールベースで行う日本のスタイルと、まずは契約してその場その場で内容を変えていくアメリカスタイルがここでも表れているようでした。他にも色々と日本的な文化が表れているものがあり、興味深かったです。
- Mixed zone:これは日本メディアの独特のシステムです。これは、選手のクラブハウスからバスに乗り込むまでの道のりの間に、選手通路とメディアエリアを分けた道を作り、メディアが自由に選手の帰り際を捕まえてインタビューするというものです。アメリカ側にはこの文化がなく、「日本のメディアはこのようなシステムがないと、カバーしきれない」という説得により、PETCO ParkやDodger Stadiumでもそれを何とかセットしました。
mixed zone風景
2.日本の野球を海外メディアに伝える。
ここが一番自分の力量が試されるところだったと思いますが、正直ここは受身だった部分が多く、もっと積極的にできるものだと今思っています。私が主にやったこととしては、以下4つです。
- Daily news to MLB PR: MLBのPR部門にTeam JapanのDaily Newsを送り、集められた場所に海外メディアがネタを取りに来るシステムです。できるだけ、stats情報など誰もが知っているもの以外をレポートするようにしました。例えば、日本のバッティング練習はアメリカのそれと違い、バッティングケージを2つや3つ作って、複数のバッターを同時に練習させますが、MLBではそのような練習方法はしないとか。
- Players' Bio:Team Japanの顔写真つきの選手名鑑を作り、海外メディアに配りました。意外と好評で、この選手のバックグラウンドを知ってもらったり、mlb.comのアナウンサーにもフルに使ってもらいました。
- Interpretation:一番いい経験になったのは、MLB Networkのライブでの岩村選手の通訳をしたこと。はっきり言って完全に勢いでした。
- mlb.com radio:これは予想しなかったものですが、Arizonaキャンプの試合のラジオ放送中に日本の話をする機会をいただきました。
正直なところ、この2.に関しては、もっと海外mediaへの露出ができたと考えています。今大会のWBCは、第二ラウンド(サンディエゴ、マイアミ)から決勝ラウンドまで、5,000を超えるメディアがスタジアムのパスを申請し、うち3,000以上がアメリカメディアだったとのことですが、彼らに事前に自分のようなポジションがいることを伝えて、試合前の練習中などのインタビューがフリーなときに、通訳をもっとしてあげることで選手にもっとアプローチしてもらって彼らに日本の野球についてもっと書いてもらうとか、アクセスを増やすことができたと考えています。これは次回からの課題と考えています。
とにかく、今回このような仕事は自分にとってすべてが初めてで、すべてが勉強でした。
サンディエゴで行われた第二ラウンドのチケットプロジェクトについては、3人の頼れる友人に本当に助けられて、201枚のセールスと13,130ドルの貢献をすることができました。もちろん、MLBとパドレス側にも報告しました。たった3週間という短い期間にしては本当によくやれた、と思っています。
今回のWBCのシステムやビジネス面(ダブルエリミネーション方式, Attendance, TV Rating, 利益分配, 日米の温度差)を見ていくとまだたくさんの問題が隠れていますが、関西大学宮本先生による「2009年WBCの経済波及効果は約506億円」という発表の後、今回のSAMURAI JAPANの劇的な優勝により、経済効果は試算よりも膨らむ可能性があるとされていたり、スポンサーのミズノ、マクドナルド、アサヒビールの株価が上昇したりと明るい話題も多くあります。
このYou Tubeを見ても、日本が「元気」になる瞬間だったと思うこともできますし、改めて「スポーツの力」というのを実感できた大会でした。
SAMURAI JAPANを通じて「ひたむきに頑張ること」「仲間をリスペクトすること」という姿勢がいつか自分と周りに光をもたらすことができるということが、自分を含め今の若い世代に知れ渡り、それがさらなる経済効果を作り、明るい日本の将来を作っていければ最高だと思います。
ちなみに、僕はスポーツの中にある何か「愛情」みたいなのを一番感じることが多いです。
上の自分のビデオの中でも話している通り、大会を最高の形に終えることはできましたが、まだまだ「満足感」はなくやっとスタートできた、という気持ちが強いです。大学院の卒業は今年の6月ですが、これからまた次の就職活動がありますし、これからが本当の勝負です。
さあ、次に向かってまた準備していきたいと思います。
P.S.それにしても、サンディエゴっていい町だ。。天気がヤバイ。